最愛の妻の死を越えて

~四国遍路が生む奇蹟~

 最愛の人が亡くなった時、あなたはその死を乗り越えることは出来ますでしょうか。

 私も最愛の人が亡くなる、と思うと、いえ、想像したくありません。けれども、その瞬間は来るのです。それが働き盛りの時、人生これからと思うときならば、皆さんはどうされますか。

 今回は千手会の会員「太田」さんが「お四国遍路」を通じ、悲しみを乗り越えられたお話しを紹介させて頂きます。

 太田さんは56歳の時、銀行の支店長を任され、「さあ、これから人一倍頑張るぞ」という時、突然、最愛の妻を亡くします。それだけではありません。お父さま、お母さまと立て続けに遷化され、7年の間に3回、喪主を務めることになりました。

 次から次へと来る悲しみに毎日、居たたまれない時間が経過していきます。さらに時代は高度経済成長期、仕事は待ってくれません。うかうかしていては他者に追い抜かれ、仕事を失ってしまします。大切な部下たちの生活もあります。傷心に鞭打ち、人前では取り繕いますが、だれもいない家に帰って来ると、心に虚無感が飛来して、涙も出ず、頭がポーっとなります。

 そんなある時です。前々から付き合いがあった初代千手会会長が四国遍路に太田さんを誘ったのです。仕事も軌道に乗り、休暇も取れるようになっていました。折角のお誘いとお四国遍路に興味があった太田さんは休みを取り、千手会のお四国遍路に参加いたしました。

「御経」のおの字も知らない太田さんは、初代会長に『般若心経』やお四国遍路の作法の手ほどきを受けながら、みんなで一カ寺、また一カ寺と巡っていきます。

 最初はみんなに付いていくだけで精一杯でしたが、段々と余裕が出来て、それと同時に四国の風光を見ると涙が止まりません。『般若心経』の一文字、一文字が心に染み渡り、心が清爽になっていくことが手に取るように分かります。

 千手会のお四国遍路は、八十八のお寺を何回かに分けてお参りをしていました。一回終えて、長野県に帰って来ると、次のお四国遍路が楽しみでなりません。また、今まであまり手を合わせて来なかったお仏壇に自分でお花を活け、ご飯とお茶をお供えするようになりました。そこで、お四国遍路で覚えた御経をお唱えすると自然と温かい気持ちになるようになったのです。

 そして、いつの間にか大切な人たちの死の悲しみをを乗り越え、一日一日を明るく生きれるようになっていきました。

 先般、千手会で「おとなの寺子屋」と題して『般若心経』の意味と唱え方を学ばせていただきました。その時に太田さんが昔のことを思い出されて、

 自分は「お四国遍路」とその時にお唱えした『般若心経』に救われました。この二つがなかったら、深い悲しみを乗り越えることができなかった

 と、今のお話しを教えて下さいました。どうぞ、太田さんの実体験を御参考にして下さい。

 また、「お四国遍路」について、僧侶の先生から私が習ったことがあります。

「お四国遍路」とは何なのか、ということはあまり述べる書物を見たことはありません。だいたいは「弘法大師さまがお開きになった八十八ヵ所のお寺を参拝する修行」となっているのではないでしょうか。では、「お四国」とはどういう場所なのか、また「遍路」修行とは何なのか、先生に習ったことをお伝えしたいと思います。

 私自身、人生の岐路に迷った時に「お四国遍路」をしたことがあります。それは大学院の修士課程の修了をひかえ、このまま大学院に残るのか、それとも別の道に進むのか、という時です。

 その時に私心を捨て、仏道を本当に歩まれていた僧侶の先生に相談しますと、

 お四国遍路を致しなさい。お四国は仏さまの浄土です。お四国の風光は仏さまの御声であり、八十八の御寺には千年以上の先人の祈りが凝縮されています。一カ寺、一カ寺、真摯に御本尊さまにお参りすると、自然とお導きが頂けます。まさしく弘法大師さまが説かれる三密修行(口に真言を唱え、行動を仏さまと同じくし、心に仏さまを抱く)そのものです。修行によって道を問いなさい。

 と、ご自身がお四国遍路をした実体験と合わせて、以上のことを教えて下さいました。実際にお四国をお参りすると、自然と進路が開け、次に進むことになったのです。

 まさしく先生のお言葉通り、お四国は「仏さまの浄土」であり、「遍路」修行は弘法大師さまの伝えられた修行方法と身をもって学ばせて頂きました。

 どうぞ、悲しみがある時はお四国遍路をしてみて下さい。作法や御経の唱え方が分からない方は千手会にてお伝えさせてもらいます。またご質問は千手会公式アカウント↓にてお問い合わせください。皆さまの幸せを祈念しています。

https://lin.ee/WW7ydJb

 お四国遍路の理論と僧侶の体験談は岩坪眞弘『花ひらく天地いっぱい総がかり』2010年、株式会社教育出版センター、をお勧めします。

コメントを残す