~見返りを求めない心~
先般、ある会社にお勤めする仲村(なかむら)さんのお話をさせていただきました(7月20日配信「失敗を成功のもと」を参照ください)。 今回は仲村さんから「本当の意味で人の信頼を得るには、見返りを求めずに他者(ひと)のことを思うことが大切であること」を学ばしていただきましたので、ご紹介させていただきます。
仲村さんは、よく喫煙所にいるようで昨日、会社をお尋ねした時も喫煙所にいて、声をかけてくれました。ただ、この前と違うのは手元に金属の保温ポットのようなものを持っておられたことです。
そこで不思議に思ったものですから「仲村さん、お手持ちのポットは何ですか」と、伺いました。すると、仲村さんが「新井さん、俺、各所にコーヒーを配ってあげているんだ。それも無償で。すごいだろう」と、満面の笑みで言葉を返してくれました。
確かに、無償で他人に喜ばれることをされることは素晴らしい、と思い、率直に「それはすごいことですね。なかなか人のために無償で行動できる方はおられないですね」と、お伝えをさせていただきました。
そのあと色々とお話しをさせて頂き、いつも通り、私は所用がある人のところに赴きました。帰りに、喫煙所を見ると、今度は仲村さんの部下の方がタバコを吸っておられました。ご挨拶をすると「新井さんですか 、いつもありがとうございます」と、爽やかに応対してくれます。非常に気持ちの良い方です。
そこで、色々なお話しをする内に、中村さんがコーヒーを配っているお話になりました 。すると、眉をひそめ「新井さん、確かに仲村さんは無償でコーヒーを各所に配っています。しかし、仲村さんは善意だけではないんです。例えば、仲村さんのお目当ての女性がいる所や自分の無理な話しを通りやすくするために、そのコーヒーを配っているんです。その下心がものすごく見え透いているのですよ。みんな表面上はありがとうございます、と言うのですが、後ろでは鼻で笑っています。本当に心からされているのであれば、みんな仲村さんを尊敬されると思うのですが、欲望がにじみ出ているので、コーヒーを気持ちよく飲めないでいますよ。純朴(じゅんぼく)な方なんですが、そんなところもあるんです」と困った顔で教えて頂きました。
なるほど。人間は、無償で人に奉仕をする時は、みんな気持ちよく受け取ってくれますが、何か下心があると、自分の何かを奪われるような気がして、気持ちよく受け取ることができないんだ。見返りを求めない純粋な気持ちに、人は感銘し、本当の意味で信頼が生まれるのだと、学ばしていただきました。
多くの方に親しまれている『般若心経』の中に「無所得(むしょとく)」という言葉があります。
昔、先輩の僧侶から、何かを求めていることは自分の目先のことを得ることはできても、本当の意味で大きなものを得ることはできない。大きなものを得るときは、必ず「無所得(自分の利益を計らない)」でなければならない、と教えて頂きました。
後日談ですが、仲村さんは先の部下の方から各所でコーヒーと仲村さんが、どのように思われているのかを聞いて、コーヒーを配るのを辞められたらしいです。
仲村さんのお陰で、また一つ成長することが出来ました。どうぞ、皆さまも今回のお話しを参考にしていただき、素晴らしい生き方を考えてみて下さい。
見返りを求めないことが、本当の意味で信頼を勝ち取ることにつながるとして、どのようにしたらその心を手に入れることができるのでしょうか?
実際に見返りを求めない心を手に入れることは難しいことと思いませんか。
そのヒントを先ほどご紹介した『般若心経』にあります。
『般若心経』は、この日本で最も親しまれているお経です。
私たちの弘法大師さまの時代より前から日本人は、この『般若心経』に親しんでおりました。では何故、このお経がここまで日本人の根付いているのでしょうか。
私見ですが、この経典が唱えやすいということ、唱えた時に気持ちが良くなり、様々な功徳がしっかりと感じられることに尽きるのではないでしょうか。
先ほどもお伝えしましたが「無所得の心」を手に入れるためには、この『般若心経』をお唱えすることが、私は実体験として一番だと思います。ですので、大きい心を手に入れたい方、自分の中に夢や希望がある方は、是非、この『般若心経』をお唱えしてみて下さい。
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