~あなたはまだ間に合います~
俺、皆に嫌われているのかな?
そう呟くと、55歳の役職定年を迎える平井(ひらい)さんが静かに嗚咽(おえつ)しながら、涙を流しました。
皆さんは、今まであった肩書が取れた時、また会社を辞める時、果たして、この平井さんの言葉と涙は他人ごとでしょうか。
今回のお話しは、自分を抑えられず、役職や勤続年で他人を軽視した行動をとってきた人のお話しです。気付いていない人も多いので、最後までお読み頂きたいのですが、気をつける点は以下の通りです。
① 日常的に自分を省みる。
② 自分の気持ちを優先しない (他者の話しをよく聞き、状況にあった言動を行うこと)
③ 人さまの批判の対象になる行いを極力しない
もし、何か当てはまるようでしたら、十分に注意してください。気付いたあなたは、まだ間に合います。
平井さんは役職定年の歳を迎えて、椅子の肘掛けが無くなり、みんなと一緒の椅子になります。そうすると、今まで慕ってくれていたみんなから冷ややかな対応を受けるようになりました。昨日までは肩書で呼んでくれた後輩たちはデスクが横になると、会話もしてくれません。
今まで可愛がっていた次の自分の肩書を担う人は、自分が作成した書類に付箋と朱線を入れ、机の上に書類を、ドンと置いて、「訂正お願いします」と短く言うと、自分の席に戻っていきます。年下の職員には優しく接しているにも関わらず、自分だけ素っ気ない態度です。
以上のお話しをされながら、「俺は嫌われているのかな?」と、呟(つぶや)かれたのです。
これだけを聞けば、なんと平井さんはひどい仕打ちを受けているのだろう、と思いますが、これからのお話しをよく聞いて下さい。
平井さんは自分が後輩たちの事を可愛がっておられた、と言いましたが、部下のみなさんからお話しを伺いますと、「平井さんはいつも自分のことを棚に上げて、人を馬鹿にして、非常に気分が悪いです」と、口をそろえます。
ある時のことです。皆で仕事をしていると、状況を全く知らない平井さんが来られ、今までの過程をすべて否定し、現場の意見も一切聞かぬまま、上役の命令ということで、皆でやっていた仕事を台無しにしていきました。もちろん、一つの企画は大失敗です。それだけに止まりません。後日、大きな会議で企画参加者たちの実名を全員挙げ、仕事の失敗例として多くの人の前で恥をさらされたそうです。
以上のようなことが再三あり、役職定年を迎え、恐れるものが無くなると、みんな冷たい対応を取るようになったのです。
後日、平井さんに、何か思い辺りはないですかと伺いますが、「全く身に覚えが無く、自分は一人だけいじめられている」と強く主張するのです。
なるほど、自分の事ばかり考えるあまりに、周りの人を敬うことが出来なくなってしまい、嫌われることになったのだと気付かされました。
そこで、一つ経文をお教えし、一日一日どのような心持ちで、何をしたら人が喜ぶかをお伝えしました。後日、徐々にですが周りからの声も良くなり、職場環境も改善されてきているようです。
注意しなくてはいけない点をもう一度、まとめますと以下の通りです。
① 日常的に自分を省みる。
② 自分の気持ちを優先しない (他者の話しをよく聞き、状況にあった言動を行うこと)。
③ 人さまの批判の対象になる行いを極力しない。
どうぞ、以上の事を参考にしていただいて、より良く生きて頂きたいと思います。また、平井さんにお伝えした具体的なことは、以下の通りです。
お伝えしたことは三つです。
① 懴悔文をお唱えすること
「懴悔文」は自分の行いを懺悔する時に使われるお経です。お唱えすると、自分の心が清らかになるのは勿論ですが、自然と自分を省みるようになり、謙虚な姿勢が出来るようになります。
平井さんには、人は知ると知らざると他者を傷つけていることが多々あります。そういう生き物であることを自覚した上で、自己反省をし、謙虚に進むことで難を逃れることを出来ることをお伝えいたしました。その為に心からこの経文をお唱えしてほしいことをお願いしたのです。
② お釈迦さまの言葉がそのまま伝わるという『法句経』(ほっくきょう)の「じつにこの世では、怨みが、怨みのよって消えることはない。怨みは怨みを捨てることによってこそ消える」という一文をお伝えしました。
いつまでも周りの事を怨んでも、相手を威圧するばかりで、今の関係を改善できないことをお伝えし、怨みを捨てることは困難かもしれませんが、先ずは何をされても、この言葉を思い出して頂く事をお願いいたしました。最初は我慢しなくてはいけませんが、手を合わせる事をしていれば自然と出来るようになることをお話しさせて頂きました。
③ 弘法大師さまの『三昧耶戒序』(さんまやかいじょ)の「善人(ぜんにん)は、他者を先とし、己(おのれ)を後とす」という一文をお伝えしました。
本当の意味で尊敬される人は、他者の事を優先し、自分の利益を後にする、まさしく仏さまのような人です。このような人を目指し、一瞬一瞬、自分の意見を抑え、他者の人格を大切にする言動を行ってもらうように心掛けてもらうようにしました。
以上の三点をお伝えし、平井さんが一生懸命頑張ってくれて、ようやく、みんなが心を開き始めてくれたのです。
人生、遅いことはありませんが、一つでも悲しいことは少ない方が良いですよね。皆さまの幸せを祈念しています。
重要な懴悔文の唱え方や手の合わせ方をお知りになりたい方、またご質問は千手会公式アカウント↓にてお問い合わせください。
